南北貿易とは

主に地球上の南側に位置している発展途上国と、北側に分布している先進工業国とで生ずる対立または協調の関係を南北問題といい、南北問題を貿易面からとらえて南北貿易と呼んでいる。
発展途上国は国際分業制の下で、農産物や天然資源などの第1次産品の生産に特化し、それを先進国に供給する一方、先進国から工業製品を輸入する役割を担ってきた。このような産業構造の第1次産業と第2次産業といった垂直方向での形態の貿易を垂直貿易と呼ぶとが、この体制の下では発展途上国は、いつまでたっても第1次産品供給国の段階にとどまり工業化を達成できないと、UNCTADなどの場で不満が表明されている。
発展途上国は経済発展のために、輸出による外貨獲得が不可欠であり、輸出市場の確保が重要な要件となる。日本の1989年度の実績を見ると、発展途上国からの輸入額は1000億ドルに達しており、アメリカの1700億ドルに次ぐ規模になっている。しかしそのうちの製品輸入の割合は、日本が32.2%で、アメリカの64.6%と比べると低い水準にある。