東西貿易とは

旧ソ連・東欧の東側諸国と、アメリカ・西欧の西側諸国との間の貿易のこと。一般にOECD諸国とコメコン諸国との貿易を指す。第二次大戦後、旧ソ連をはじめとする社会主義国と、アメリカの結んだ資本主義国の2つの体制が生まれたが、ソ連・東欧は東側諸国、アメリカ・西欧は西側諸国と呼ばれ、この東側諸国と西側諸国の間の貿易を東西貿易という。今日ではOECD諸国とコメコン諸国との貿易を指して一般に東西貿易と呼んでいる。
東西貿易は、第二次世界大戦直後から冷戦の最も厳しい時期までは皆無に等しかったが、冷戦構造が緩和しはじめた1950年代後半から次第に行なわれるようになった。
1986〜1989年のOECD諸国全体の対ソ・東欧貿易額は、輸出で年平均420億ドル、輸入のそれは432億ドルで、輸出入総額に占めるシェアは輸出2.3%、輸入2.3%と、必ずしも高い値を示しているわけではない。ココム規制による枠があるので、東西貿易は十分な進展を見せていないが、近年の東西ドイツの統合、東欧諸国の自由化への移行、ソ連の解体などの政治的変革の結果、ココム規制も急速に緩和する傾向があり、今後の東西貿易は形態においても大きな変容を遂げ、量的にも拡大していく公算が高い。