実需原則とは

金融機関以外の企業が為替の先物予約を締結するときは「輸出入や貿易外取引などの実需取引が背後にあるときに限られる」という大蔵省令による規制のこと。実需を伴わない為替取引は投機につながり、為替相場の安定が損なわれる恐れがあるという考え方から、この実需を伴った取引を原則とする規制がしかれていたが、企業は輸出入などの契約がまとまるまで予約を待つ必要があり、為替リスクやヘッジのタイミングを逃すという不満や、海外の先進主要国が実需原則を採用していないことなどの理由により、日本でも1984年4月に撤廃された。
現在ではベースになる取引の確認はせず、自由にいつでも為替予約が可能になったので、為替予約のヘッジ手段としての機能が高まったが、企業による為替投機取引も増加することになった。このため企業の為替投機失敗により、為替損を先送りするための為替予約の延長取引が増えたので、1992年、銀行は為替予約の延長を原則として認めない措置をとった。