多国籍企業

少なくとも数カ国以上にわたって、対外事業活動を行い、進出国での社会的インパクトが大きく、企業戦略を重視し、グローバル志向の強い巨大企業のこと。国連による規定では「2ヶ国以上の国で資産を支配する企業」としているが、現在では中小企業であってもその程度の企業活動を行っていることが多く、多国籍企業の概念としては不適切であるといえる。
1960年以降、特にアメリカの巨大企業が多数国における海外直接投資を通して、世界的規模で生産・販売活動などを行う多国籍企業の活躍が顕著となってきた。とりわけ1960代では、ECの貿易制限に対する措置として、アメリカ企業の現地生産が活発化し、多国籍企業化が注目されるようになった。現在では、たとえばアメリカのGMの売上高は、スウェーデンやスイスのGNPに匹敵するような状況で社会的インパクトも大きい。近年では、日本の多国籍企業も世界的影響力を与えてきている。特に製造業に限定すれば、アメリカ系企業を上回っている可能性も強い。
日本の多国籍企業は、一般的には輸出活動を軸とした発展過程を遂げてはいるが、特にプラザ合意の1985年以降、現地生産も含めたグローバル志向へと転換してきている。