ニクソン・ショックとは

1971年8月15日、ニクソン米大統領が発表した新経済政策の内容、またそれが世界に与えた影響を指す用語。アメリカは第二次世界大戦後から1950年代までは、豊富な金準備を背景として各国の中央銀行が要求すれば、いつでも1オンス=35ドルの固定比率で米ドルと金を交換できる態勢であった。しかし1960年代に入ると、ベトナム戦争をはじめとした軍事費用の増大や対外援助の増加によるドルの流出、さらに国内インフレによる貿易の赤字などにより、米ドルの国際的新任は急速に弱まり、その結果、1968年頃から投機筋は金買いに走り、一部の国の通貨当局もアメリカ政策に金交換を要求してきたため、その対応策として打ち出したのが新経済政策だった。それは金と米ドルの交換停止、10%の輸入課徴金の賦課を含んだ内容で、前者はIMF態勢の崩壊、後者はGATT態勢の崩壊を実質的に意味することから、世界各国に多大な影響を与え、この制作を発表し、実行に移したニクソン大統領の名をとってニクソンショックとよばれた。なお、米ドルと金の交換停止を指してドルショックと呼ぶ場合もある。