NAFTA(北米自由貿易協定)とは

North America Free Trade Agreement の略であり、アメリカ、カナダ、メキシコの3ヶ国からなある自由貿易協定・地域経済統合の構想のこと。アメリカとカナダの両国は、1988年に米加自由貿易協定に調印し、1989年1月から発行しているが、これをメキシコに拡大し、一大自由貿易圏を成立させたものである。3ヶ国で人口3億6000万人、GNP6兆2000億ドル(1990年実績)の経済統合圏になり、EUの規模を上回るものになった。
交渉の経緯は、まず1990年から翌年1991年にかけて、メキシコのサリナス大統領の提唱に基づき、ブッシュ米大統領とサリナス大統領の会談、ブッシュとマルルーニ加首相の会談がもたれ、1991年に構想実現に向けて三国間で合意した。同年6月にトロントで初の三カ国閣僚会議が催されて、1992年の8月11日に三国間で基本合意が成立した。
この協定により、アメリカはメキシコ湾岸の大油田を確保し、中東産石油への依存度を軽減するとともに、アメリカ、カナダの資本はメキシコ国内に低いコストの生産拠点を設立でき、一方メキシコは工業化を促進し、巨額の累積債務をアメリカとカナダの協力により円滑に処理することができるなどのメリットがある。しかし生産拠点の移転に伴うアメリカやカナダ国内の雇用の悪化、メキシコからアメリカ、カナダへの不法就労者の流入、メキシコ国内の環境汚染の発生などのデメリットも考えられ、経済のブロック化を懸念する声も大きい。