バーター貿易とは

バーターの本来の意味は「物々交換」であり、貨幣概念の介入しないものである。その期限は古代フェニキア承認の時代にまで遡るといわれ、最も原始的な取引方法であるが、今日においては、バーター貿易といっても、それは貨幣単位をもって表示する方法がとられる。つまり取引当事者は、貨幣という交換基準を用いなければ、取引の交換比率を確定できないためである。そのため今日ではバーター貿易は、競技の求償貿易を指し、純粋な意味の物々交換ではなく、事実上、物々交換と等しい効果、つまり二国間の政府間協定により、相手国との輸出入価額を一定期間内に完全に均衡させ、差額決済のための資金を不要にする貿易統制のひとつの方式である。しかも個々の取引は売買契約に基づく物品売買であり、ただ結果的に相互に負担しあう代金支払いの義務を会計上の貸借で処理し、正貨(国際決済通貨)の移動を省略するという決済上の便法がとられているだけである。この種の取引の具体的事例としては、東西貿易や南北貿易で多くみられる。